ロジアン(Lothian)、オークニー、ノルウェーの王で、息子としてガウェインおよびその兄弟たちがいる。アーサーの姉アンナの夫(ジェフリー説)、あるいはモルゴースの夫(マロリー説)とされる。ジェフリーでは、すでにロジアンの王であったロットがアーサー王に忠誠を誓い、それを受けてアーサーがノルウェーの王に任命したと記されている。オークニーの王であったというのは後につけ加えられた話であるように思われる。しかし他の物語では、ロットはアーサー王の治世が始まったさいの反乱軍に荷担したと述べられている。ロットはペリノアに殺され、その結果、ロットとペリノアの息子たちの間には確執が残った。
ロットという名前(その古型はレウドヌス(Leudonus))は単に「ロジアンを統べる者」を意味し、個人名と考える必要はない(「グウィアル」も参照)。事実、5世紀のロジアン地方にある王がおり、エディンバラ近郊のトラプレイン・ロウに本拠地があったということが確認されている。
アーサー王物語に登場するロットの息子としてはガウェイン、ガへリス、アグラヴェイン、ガレス、モルドレッドなどがおり、娘としてはソレダモール、クラリサンなどの名前が挙げられる。『ガウェインの息子たち』には、若き日のロットはアーサー王の宮廷で小姓をつとめていたが、モルゴースと関係を持った結果、ガウェインが受胎されたという。また、ロットは聖ケンティゲルンの母親セイニーの父親であると、『聖ケンティゲルンの生涯』に述べられている。ただし、ここであげられているロットなる人物が、ロット王と同一人物であると仮定しての話であるが。ボゥイースはロットがピクト人の王であったという。祖先に関しては、ジェフリーが古代ブリテン王のひとりとして名前をあげているフルゲンティウスの血を引いているのだと、ジョン・オヴ・フォーダンが『スコットランド年代記』で述べている。これに対してジョン・オヴ・グラストンベリーは、アリマタヤのヨセフに同行したひとりのペトルスがその祖先だと言う。