ロットと結婚したアーサーの異父姉。ガウェイン、ガへリス、アグラヴェイン、ガレス、モルドレッドの母。『ガウェインの息子たち』によれば、ロットはもともと従僕であったが、モルゴースと関係を結び、その結果ガウェインが生まれたという。マロリーでは、モルゴースはロット王の妃であったが、(自分たちの濃い血の関係のことを知らない)アーサーと結ばれて、モルドレッドを産んだとされる。モルゴースは、ラモラックと床をともにしているところを息子のガへリスによって襲われ、殺された。ラモラックには、その父ペリノアによって、みずからの父親ロットを殺された怨みがあったのである。
この人物は最初からモルゴースと呼ばれていたのではないらしい。ジェフリーでは、ロットの妃はアーサーの姉アンナである。『ワルガヌスの生い立ち』では、『ガウェインの息子たち』のなかでモルゴースにふりあてられている役割が、アンナに与えられている。また、モルゴースという名前自体、個人名というよりは土地の名前に由来するのではないかと思われる。というのも『王冠』では、ガウェインの母親はオルカデスもしくはモルハデスと呼ばれているが、これらは「オークニーズ(Orkneys)」(ラテン語ではオルカデス(Orcades))というロットの治める国の名前からとられたらしく、さらにモルハデスはモルゴースの変異形であるように思われる。