ゴメレット(Gomeret)あるいはベンウィックの王。当初からのアーサー支持派で、アーサーが王になりたてのころ、反乱軍と戦った。バン王の領地は大陸にあったので、アーサーは褒賞としてバン王の敵であった。クラウダス王との戦いで支援した。クラウダス王がバン王のトレベス城を陥落させると、バン王は気落ちして亡くなってしまった。
バン王の妃は通常はエレインと呼ばれているが、フランスの中世騎士物語である『コンスタン王の息子たちの物語(Roman des fils du roi Constant)』ではサーベ(Sabe)という名前になっている。この物語では、バン王にリバンという名の娘がいる。
息子のランスロットはアーサーの重鎮騎士となる。バン王にはさらに、アグラヴァデインの妻との間にできた、エクトール・ド・マリスという名の私生児がいる。
バン王はクレシューズなる名剣をもっていたとされる。バン王はガリアのボールス王の兄弟であった。
バンはもともと神ブラン(Bran)であり、Ban den Benoic(すなわち「祝福されたバン」の意味。『マビノギオン』参照。この作品のなかでは、バンはベンディガイドフラン(Bendigeidfran)--ウェールズ語で「祝福されたブラン」--と呼ばれている)の変化したものではないかと言われてきた。さらに、アイルランド語のバン(ban「白」の意)との関連を指摘する者もいる。
「マビノギオン」