ホエル
人物紹介
- ブルターニュの王。アーサーは対サクソン戦の援軍としてホエルをブリテンに連れてきたが、いくさの途中で病にたおれ、アルクルッド(ダンバートン)に残されたところをスコットランド人とピクト人によって包囲された。アーサーが駆けつけて救出した。トリスタンの義理の父親であるブルターニュ王ホエルとたぶん同一人物であろう。ジェフリーはアーサーの甥と呼んでいるが、アーサー王学者のL.ソープはこれは誤りで、その母親はじつのところアーサーではなくアンブロシウスの妹なのだから、「甥」というところは「いとこ」でなければならないと主張している。ジェフリーは母が誰であるか述べていないが、父はブディシウスであるという。伝統的には、ホエルは510-45年にブルターニュを治めたと信じられてきた。14世紀のウェールズ語の作品『アーサーの誕生』では、ホエルはアーサーの姉グウィアルとイメール・リダウとの間に生まれた子どもであるという。『散文トリスタン』では、ホエルにルナレンという名の息子がいたとされるが、一般には「白い手のイゾルデ」およびその兄カヘドリンの父親として知られている。
- 『アーサーとマーリン』ではイグレーヌの最初の夫はゴロアではなくホエルと呼ばれている。そしてブラシーヌ、ベリセント、ヘルメセントの3人の娘がいる。「流布本」版の『メルラン(マーリン)続編』にもこのホエルのことが述べられ、「ティンタジェル公爵」の称号で呼ばれている。
参照
「24人の騎士」
図説アーサー王伝説事典
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- 東京大学大学院
総合文化研究科 教授
山本史郎