アイルランドのアングイシュ王の娘で、コーンウォールのマルク王に嫁ぐが、媚薬を飲んだおかげでトリスタンと絶望的な愛を抱き合う。トリスタンの訃報を聞くと、失意のうちにこときれた。
この名前はアイルランド起源ではなく、古代ブリテン語のアドシルティア(見つめられる女"ひと")から来ている。イゾルデをダブリンのチャペリゾッドと結びつけようとするのは、この地名の由来に対する誤解に基づいている。
アイルランドのイゾルデと別れたトリスタンが結婚した相手は「白い手のイゾルデ」と呼ばれる。ブルターニュのホエル王の娘とも、アルンデル公爵ヨフェリンの娘ともいわれる。トリスタンは結婚後もアイルランドのイゾルデの方を愛していたので、妻と関係をもとうとせず、妻の怨みをかう。致命的な傷を負ったトリスタンは、アイルランドのイゾルデがそれを癒すことができるのではと、恋人を呼ぼうとする。船は、イゾルデが乗っていれば白い帆、さもなくば黒い帆をかかげるという取り決めであったが、「白い手のイゾルデ」は白い帆が上がっているのを目にしながら、嘘をついた。この嘘のおかげで、トリスタンは恋人の到着を目前にして息をひきとった。ここにはパリスとオイノーネ、テーセウスとアイゲウスなど、ギリシア神話の影響が流れ込んでいるように思われる。アイスランド版のトリスタン物語では、第2のイゾルデはスペイン人であるとし、トリスタンがスペイン王を打ち敗ったときに与えられたのだと述べている。