ヴォルフラムに登場するパルツィファル(パーシヴァル)の息子。「聖杯」を守っている人々のひとり。
ローエングリンは白鳥の似姿をした天使がひく船にのって、ブラバントにむかった。ブラバント公爵の娘エルサが自分と結婚する約束をしたと主張するフレデリック・デ・テルラムントから、エルサを守るためであった。ローエングリンは一騎討でテルラムントをやぶり、エルサと結婚したが、そのさい自分の名はけっして問うてはならないと言い渡した。ふたりの子どもが生まれたが、エルサは禁じられた質問をついに口にしてしまい、ローエングリンはエルサのもとを去った。
ついでローエングリンはリザボリエの皇女ベライエと結婚したが、娘が魔法で籠絡されたと勘違いした両親の派遣した軍隊によって殺害されてしまった。ベライエは悲嘆にくれて亡くなる。国の名はローエングリンを讃えるためロトリンゲン(ローライネ)とあらためられた。ローエングリンの冒険はヴォルフラムおよび、それ以後に書かれた作者不詳の詩(『リゴメール』)に物語られている。