(ウェールズ語ではカイ)エクトールの息子で、アーサーの乳兄弟。ローマ系の名前であるカイウス(Caius)が転じたものであろうといわれることが多いが、R.ブロムウィッチのいうようにアイルランド起源の名かもしれない。
初期のころの物語ではアーサーの忠臣のひとりであるが、後になると悪人的要素をもつようになる。たとえば『ペルレスヴォ』ではアーサーの息子ロホルトを殺害し、「島々のブリアン」とともにアーサーに反旗をひるがえす。ケイは石から剣を引き抜いたのはアーサーではなく自分だと主張するが、エクトールに問いただされて、真実を述べる。
難解なウェールズ語の詩『パ・ギール(Pa gur)』は、キャス・パリーグを殺したのはケイであると述べているように思われる。ケイはノーサンバランド王カドールの娘アンドリヴェートと結婚する。
ケイには、ガランウィン、グロノシスというふたりの息子と、ケレモンという名の娘がいたとされる。愛馬の名はグウィナム・ゴズウフ・ヒルという名である。アンジュー公爵に任じられたと、ジェフリーはいう。
『アンジューならびにメーヌ年代記』を書いたJ・ド・ブルディーニュは、ケイはウーゼルに仕えたサクソン人で、自分だけがキリスト教徒だったので、他のサクソン人を憎んだのだと述べている。
その死にざまについては諸説がある。ウェールズ系の文献では一貫してグウィザウグがケイを殺し、アーサーがこのグウィザウグを殺したとされる。しかしこれ以外に、ローマ軍との戦いで戦死したとも、モルドレッドとの戦いで果てたともいわれる。
「カースル・ケイ(ケイの城)」「モン・サン・ミッシェルの巨人」