魔剣エクスカリバーは湖の姫からアーサーへの贈物である。この剣の刃は決してこぼれることなく、鋼や岩をやすやすと斬り裂いて、なまることがない。戦いにあっては松明のように輝き、アーサーがそれを身に着けていれば、敗れることはない。宝石を飾った鞘には魔力があり、それを佩びている者は決して負傷しない。これは、アーサーが石から引き抜いて、みずから王の器であることを証明して見せた、あの剣とはちがう。その時の剣は、一説によれば、ペリノア王との正義にもとる果し合いのさいに、折れてしまったという。その際アーサーはペリノア王の、王としての法的な権限を不当に冒してしまったのであった。マーリンが助けに入り、ペリノア王に呪文をかけてくれたので、アーサーの命はあやうく救われた。この事件のあと、マーリンはアーサーをともなって、別の剣を求める旅に出る。新しい剣を手にすることで、アーサーは権威をとり戻し、運命をまっとうすることができるだろう。マロリーの物語では、二人は湖の姫の国に行き、アーサーはエクスカリバーとその鞘をもらう。これにより、アーサーは連戦連勝の、不死身の王となるのである。