(フランス語ではイヴァン)歴史上の人物で、レゲッドの王ウリエンの息子で、父を継いで王となった。たぶん紀元593年ごろ、イングランド軍を手ひどくやっつけた。
史実の上ではアーサー王伝説の時代よりも後に生きたが、オワインもその父ウリエンもアーサー王伝説にひきずり込まれ、オワインはウリエンとその妃である「妖姫モルガン」との間にできた息子ということになってしまった。『ロナブイの夢』では、アーサーとオワインがグウィズブイル(将棋のようなゲーム)をたのしんでいる間に、オワインの鴉とアーサー軍が戦い、鴉たちは敗北寸前までいったが、これを見たオワイン(イヴァン)が旗を上げるよう命じると、鴉たちはふたたび元気を出して攻撃にかかったという話が記されている。
クレティアンによるフランス語の騎士物語『イヴァン(Yvain)』では、ブロスリアンドの森にこんこんと湧きあがる魔法の泉のことを聞きおよんだオワインが、そこにおもむき、泉を守っていた騎士エスクラドスを敗った物語が描かれている。オワインはエスクラドスを城まで追って行ったが、城にこもった騎士は負わされた傷がもとで死んでしまった。オワインが入城しようとしたところ落とし格子の仕掛けにはまってしまったが、亡くなった騎士の妻ロディーヌの妹リュネットによって救出された。オワインはロディーヌに恋し、リュネットは姉を説得してオワインと結婚させる。アーサー王の一行が到着すると、オワインは王とともに出発するが、一年以内には戻ってくると妻に約束した。オワインは時間のことをあまり気に止めていなかったので、約束を守ることができず、その結果ロディーヌはオワインの帰還を拒絶した。オワインは気がふれて森をさまよい、ある膏薬をえてようやくのことに正気を回復した。ついで、大蛇と戦っているライオンに手を貸してやり、その結果ライオンがオワインの伴をするようになったので、「ライオンの騎士」というあだ名がつけられるようになった。ウェールズの伝説では、オワインはペナルワンとデヌ(アーサーの姪にあたる)の夫としている。
「24人の騎士」