『ソニック ワールドアドベンチャー』ディレクターブログ

第5回 ソニックの動きとカメラ その3

2009年02月12日

みなさんこんにちは。
『ソニック ワールドアドベンチャー(SWA)』 ディレクターの橋本です。

すっかり間が空いてしまいましたが、
今ちょっとした仕込みをしているところでして、
なかなか更新できずにすみません。
もうちょっとしたら仕込みのお知らせができるかと思います。


さて、前回のつづきです。

前回の考察から、私は

「2Dソニックと3Dソニックはお互いの良いところを生かして
補完し合える関係にあるのではないか」

と考えたわけです。

そして今回はその結論です。


みなさんお察しの通り、一言で申してしまえば、

「じゃあ2Dソニックと3Dソニックを混ぜちゃえばいいじゃん!」

というシンプルな結論にいたりました。


そんだけ? と思うくらいあっさり簡単な結論ですよね。


ですが、

こういったものは言われてみれば「まあそうだよね」となるのですが、

それを何も無いところから考察してそうしようと発想し、

実行しようと決断するのは意外と難しいことなのです。


「言われてみれば当たり前」を提示するのも

ゲームデザインの醍醐味の一つと言えるかなと思います。


そして、さらにそれを「現実に作ることが可能なもの」に

落とし込んでいく考察に入るわけです。


3Dソニック

その時考えた「ソニックの動きとカメラのスタイル」についてもう少し具体的に書きますと、『ソニックアドベンチャー』シリーズのようなカメラがソニックの後ろにいてソニックが画面の奥に向かう「3Dソニック」でプレイするエリアと、メガドライブのソニックのようなカメラがソニックの右側にいて、ソニックは画面の右に進む「2Dソニック」でプレイするエリアを交互に並べて、エリアの境目でカメラがソニックの真後ろから真横へ、真横から真後ろへと移動し、

さらに、アナログスティックの操作の方向も3Dソニック時は上に倒すと前進、

2Dソニック時は右に倒すと前進するようにスムーズにスイッチすれば

上手くいくだろうということを考えたのです。

3Dソニック

「それぞれのエリアは15~30秒ほどの長さで小気味良く3Dソニックと2Dソニックが切り替わり、一つのステージあたり8~15エリアくらいで構成するのがボリュームとしてもちょうど良いだろう」ということもその時にイメージしていました。


実際に作る前はこの「エリアの境目の切り替わり」で動作上の不都合が起きる

可能性も考慮したのですが、

頭の中のシミュレーションではスムーズに切り替わりが行われることは

確認できていたので、まあ大丈夫であろうという判断がありました。


これにより、3Dソニックの長所と2Dソニックの長所のそれぞれを伸ばし、

3Dソニックの短所と2Dソニックの短所のそれぞれを最小化し、

「おいしいところどりのソニック」になっていくわけです。


また、ソニックの「動き」に関して絶対に重要視していたのが

「圧倒的なスピード」でした。

そして、ソニックに必ず登場する「リング」とそのスピードを結びつけるのが

最も良いであろうことも思いました。

リングを集めれば集めるほどにリングのエナジーが貯まり、

そのエナジーを消費することでソニックが急加速できるようにしたのです。

これを「ソニック ブースト」と呼びます。

また、リングをたくさん所持するほどにソニックの最高速度が上昇するようにもしました。

これにより「ミスをせずリングを取れば取るほどにソニックは速く走れる」という

仕組みになったのです。


ただ、そこでひとつ問題が起きることを予期していました。


単純にソニックの速度を上げてしまうと、3Dソニックのプレイ時に前方の障害物を

アナログスティックだけではスムーズに避けていくことが困難になることが

予想されるわけです。


quick_step.JPG

そこで、ゲームコントローラーのLトリガーとRトリガーを押すことでソニックが進行方向を維持したまま左右にすばやくスライド移動するアクションを追加しました。これが「クイックステップ」というものです。

このクイックステップにより、

超音速で走行しながらも前方から迫り来る障害物を右に左にひょいひょいと

避けていくアクションが可能になりました。

他にも、

身をかがめた状態で滑っていく「スライディング」、

空中から真下に急降下する「ストンピング」、

壁から壁へキックしながらジグザグに昇って行く「三角飛び」、

ヘアピンコーナーでもスムーズにターンができる「ドリフト」、

などのアクションが追加され、


「ノンストップ超音速ジェットコースターアクション」


を実現するために不可欠なものとなって行ったのです。


このようにソニックにアクションがいろいろ追加され、

以前から存在する「ホーミングアタック」や「ライトダッシュ」などのアクションも

あわせると、今回のソニックはかなり豊富なアクションを繰り出すのですが、

なるべく直感的に操作が行えることを意識してボタン配置してあります。


ぜひこれらの多彩なアクションを駆使して

「ノンストップ超音速ジェットコースターアクション」

というのがどういうものかを体験してもらえたらと思います。


以上で「ソニックの動きとカメラ」編となりますが、いかがでしたでしょうか。

実際にはもっともっと細かい考察が行われているのですが、

ゲームを考える際の雰囲気は伝わったのではないかと思います。


次回は、サウンドディレクター大谷智哉氏との対談編です。


p.s. 今週発売のファミ通は要チェックですよ!

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